2018.07.13

アパレル未経験、ファッション興味なし。それでもワンピースブランドを立ち上げた理由

人生100年時代。
残りの人生がまだ65年もあるということに気づいた35歳のえりか。
お金のためと思って仕事をしていたけれど、
本当にこれでいいんだっけ?と、自分の人生を見直し中。

金融や報道機関を経て独立後、アパレル未経験でワンピースブランド「Ayuwa」を立ち上げた、渡部雪絵さんにお話を聞きました。

登場人物

渡部雪絵さん

アユワ株式会社 代表取締役
早稲田大学卒業後、金融機関、報道機関を経て、2013年8月に第一子出産。アユワ株式会社を設立し、ワンピースブランドAyuwaを2016年5月にリリース。売り上げの一部を子供支援活動団体に寄付するオリジナルのチャリティプログラムを展開している。

子供が大きくなっても、紙おむつの事業に情熱を持てる?

これまでは金融とか報道機関とか、お堅い感じの業界で働いていたんですね。

どうして独立したんですか?

妊娠を報告した直後に、会社から退職するよう促されたことがきっかけでした。

え!?

もともと社員全員が年更新で契約している会社でした。
この会社に入ったのは自分だし、業務内容や当時の自分の力量から、仮に勤め続けられたとしても会社や当時のお客さま、社会に貢献できるイメージが持てなくなっていたような気がします。

だから会社員を卒業するきっかけをくれたこの会社にはとても感謝しています。

とはいえ急に辞めることになったんですよね?
妊娠中だし、大変だったのでは…?

そうですね。

雇用されている立場のままの出産であれば、産休や育休といったお休みや社会保障料の支払い免除もあったはずですが、そういった類の権利は無くなりましたし、前年度計算で請求がくる納税額もなかなか高くて(苦笑)。

保育所の入園制度も自営業者や休職者には不利な側面もありました。

想定外の退職だから、備えることもできないですよね。

住んでいる地域の区議さんは当時の私の立場を「制度のはざまに落ちてしまった」と表現されていました。

これまで自分の意思で決めて実行できたことが、妊娠した途端に社会システムに組み込まれ、時代にそぐわない制度によって選択する自由すらなくなる場合があって。

ただ、当事者になって「どうしてこんな環境なんだろう」と疑問を感じることができたお陰で、今後は社会の変革に寄与したいと考えるようになりました。

そして起業することに。

会社員に戻る選択肢はなかったんですか?

その道も考えましたが、産後は会社員に戻ることが選択できませんでした。
いま振り返るとプライドが邪魔をしていたと思います。

出産を経て会社員として働いても、乳児を抱えながら以前と同じポジションで同じ仕事量をこなすことは難しく。
かといって、これまで金融総合職として働き、実母が小学校教諭で定年まで勤め上げた環境で育ったためパートや主婦になることも考えられませんでした。

残った選択肢が起業だったんですね。

そうですね。
妊娠中にとあるコンサルディング会社で業務委託として勤務したのですが、そちらで管理職だった同世代の男性が「俺、そのうち起業するよ」と発言したのを聞いて、あぁ、そういう生き方もあるのね!って思い立ちました。

勤め人ではない立場だから、時間が自由に使えると思ったことも起業を決意した理由の一つでした。
生まれてくる子供との時間を作りたかったんです。

結果的には起業してからの方が忙しくなっちゃいましたけどね(笑)

最初からワンピースのブランドをやるつもりだったんですか?

いえ、最初は紙おむつの事業を考えていました。

子育てしていると、子供グッズ関連で思うことはいろいろ出てきますよね〜。

おっしゃる通りです。
でも、たくさんの女性起業家を見てきた起業家として大先輩の男性に事業計画を見せると、「“育児での気づき系の起業”。こういう人は多いんですよ」と言われて。

ショック…!

子供が大きくなっても紙おむつに情熱を持てる?」と問い正されて、商売になりそうってだけで考えてたことを気づかされました。安易でしたね。

たしかになぁ。
娘のおむつが取れた瞬間、紙おむつなんて1ミリも興味なくなりそう。

オシャレに費やす時間を減らしたいから、ワンピースが好きだった

また、女性は社会貢献意識が強く利益を考えない傾向にあることも指摘されました。

貢献意識を10%減らして、利益意識を5%増やすこと
好きなことで事業をスタートさせ、小さくはじめて少しずつ利益をだして大きくすること」という大切なメッセージもいただきました。

好きなことかぁ。

すぐには浮かびませんよね…。
そこで私は「自分は何に対して一番お金を使うのか」という観点で考えました(笑)。

それがワンピースだったのです。

洋服ではなくて、あくまでもワンピース?

はい。
私はもともと、ファッション全般に強い興味関心はありませんでした。
ファッション誌も全然読みませんでしたし。
だからこそのワンピースなんですよね。

1枚でキチンとキマる、コーディネートに悩む時間不要、脱ぎ着も簡単!

それで「日々忙しく過ごす女性を応援するワンピース」ってコンセプトが生まれたわけですね!

そうなんです。
それにこのコンセプトなら、エッジが立ち、多くのお客さまに受け入れられなくても一部のニッチなお客さまにご支持いただけるのでは?と思いました。
実際にAyuwaのお客さまとのコミュニケーションで気づいた、個人的に面白さを感じるデータがりあます。

Ayuwaユーザーの皆さま、普段出汁には「茅乃舎」のパック出汁、洗剤には「ジェルボール」というポンと1粒を洗濯槽に入れるだけの商品を使っている人が多いんです(笑)。

つまり、時短はしたいけど、こだわりもある、時短とこだわりの実現のためにはちょっと高いものでも支持する、といった感じです。

なるほど。たしかにそういう志向の人にAyuwaのワンピースはハマりそうですね。

ちなみに「ワンピースで起業する」と決めるのにかかった時間は?

アドバイスをくださった方は、「いま仕事をしないと生きていけない、という状況でなければ、もうちょっと右往左往して考えた方がいい」と仰いました。

時間をかけて右往左往したつもりでしたが、結局3週間後には今の事業をスタートしました。

決断早っ!

「これだ」とピンときたら、すぐに行動に移す方なんですよね(苦笑)。
とにかくやってみないと分からないですし!

クラウドファンディングと創業補助金で資金集め

これまでにアパレル経験はないわけですよね。
ワンピースブランドをやろうって決めて、まず何から始めたんですか?

生地屋さんやパタンナーさん、生産業者さんを探しました。
それと並行して、洋裁を習っている母の紹介で、洋裁の先生から服作りの基本を教えていただきました。

私がデザインを提案し、ワンピースを20点ほど作ってもらいました。

おもしろそう!

もともと昔からものづくりは好きだったんです。
高校の家庭科の授業で浴衣を作ったり、妊娠中に子供の洋服を作ったり。

ブランドを立ち上げるためにかかるお金はどうしたんですか?

まず、朝日新聞社が運営する「A-port」というクラウドファンディングサイトを利用しました。

マーケティングの勉強会で実際にA-portさんでクラウドファンディングに取り組んだ会社さんや、朝日新聞社のA-portご担当の方からお話を聞く機会に恵まれて。
A-portは、担当くださる方が記者さんで起案文というクラウドファンディングサイトに掲載する記事をご指導くださる点が魅力的でした。

また、各種メディアに案件を宣伝してくださり、ご縁があればメディアに掲載される可能性があることも起業初期の小さな会社には有難いことだと感じましたし、新聞社が運営するクラウドファンディングなので、起業することで追求したかった社会性を世に伝えられるのは?という期待もありました。

そうか、自分のお金がなくてもクラウドファンディングで資金を集められるんですね。

ただ、クラウドファンディングに取り組むことは、様々な意味で試練があると思っています。
何事も簡単ではないですね(笑)。

あとは手続きが面倒でしたけど、「創業補助金」も利用しました。

〜 つづく 〜

後編はこちら

「今の自分に自信はなくていい」キャリアに自信がなかった女性が起業に踏み切れた考え方

TEXT:mamachari編集部

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